「BIRTHDAY」



BY 槻也













「なんでダメなの!!」

部屋に陵刀の声が響く
8月5日。鉄生は仕事の後陵刀のマンションに来ていた。

鉄生はあきれ顔でTVにむかいビールを飲んだ。

「なんで俺がそんなところへ、しかもお前と行かなきゃなんねぇんだ・・・」

馬鹿馬鹿しいと付け加え、かちゃかちゃとチャンネルをまわす。


数分前の事。

陵刀からHOTELに行こうと言われた。
訳のわからない理由を付けてどうにか自分を連れて行こうとするが
とんでもないと断固として鉄生は断った。

「たまには僕のお願い聞いてくれたって良いじゃないか!」

ふくれ顔で陵刀はリビングを後にした。


「ばーか・・・」

ひとり残された鉄生はぼやくとビールを一気に飲み干した。




数時間後、ふて寝を決め込んだ陵刀はベッドの軋みを感じ目を覚ました。

暗い寝室のなか自分の足下でベッドを軋ませ近寄ってくる影がある。
すぐにそれは誰なのか解った。

「どうしたの?鉄生君・・・」

跨るような形で鉄生が無言のまま目の前に来た。

「?まって、電気を・・・」
「つけるな!!・・・このまま・・・」

そのまま鉄生が黙り込んでしまう。

とりあえず陵刀は何も言わず鉄生の次の行動を待った。


「あ・・・えっと・・・・」


今ひとつはっきりと言えず鉄生が口ごもる

「うん?」


がしがしと鉄生は髪を掻きむしると意を決して陵刀に接近した。
ゆっくりと陵刀の唇に鉄生の其れが重なった。

激しいものではなかったが鉄生の一生懸命さが伝わってくるようだった。


陵刀の手が鉄生の腰に回され引き寄せられると、鉄生の体が陵刀に密着した。

「鉄生君、コレって・・・」
「う・・うるせぇ・・・お前誕生日だろ。HOTELは無理だけど・・・」

明かりを付けたら真っ赤になって照れる鉄生の顔があると思うと、陵刀は
リモコンに手を伸ばしかけたがせっかくの彼の勇気を台無しにしてしまうことが
目に見えていたので堪えることにした。

鉄生なりに相当の決意での行動だったのだろう。
そう思うとうれしさに、にやけてしまう。


「ねぇ鉄生君。もう一回。」
「・・・・」

真っ暗な部屋の中、鉄生と陵刀の唇が再び重なった。
今度はさっきのキスとは比べものにならない濃厚なモノだった。鉄生の腰が引けるが
陵刀は腰に回した手で逃げることを許さない。

陵刀の舌が鉄生に絡みつく。



「今日はこのまま鉄生君を抱いて寝ても良い?」




「・・・・それ以上の事はしないなら・・・」

嬉しそうに陵刀は笑うと薄手の上掛けを翻し鉄生を招き入れた。
いつもはコトの後疲れ果てて寝てしまうのでこんな形で陵刀と一緒に寝るのは
初めてだった。

なんだか逆に恥ずかしい



めずらしく陵刀も手を出さずそのまま寝てしまった。




「今日だけだからな・・・・」





鉄生はゆっくりと目を閉じ陵刀に寄り添った。





END

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送